本研究はこの外表皮の色調異常に伴う醜形治療に本講座が日本で初めて臨床応用した培養表皮を用いて、低侵襲で効率的で有効な治療法を確立する事を目的とした。生命倫理委員会の承認の下に同意書を得られた患者より、麻酔下無菌的に得られた剃毛後の正常皮膚(15/1000ミクロン)を、2mm角に細切し抗生物質(ペニシリン、カナマイシン、アンホテリシンB)含有PBS中で2回除菌した。その後、0.25%トリプシン含有DME培地(又はF-12培地)中で、酵素消化した。その後、この皮膚を10ng/mlコレラトキシン含有20%FBS加DME培地中で1時間、室温で撹拌し、分離細胞を得た。この細胞浮遊液を、1×104 cell/cm2になる様調節し、20%FBS加、10mg/mlコレラトキシン含有DME培地を用いて、37℃で5%CO2条件下48時間培養し、表皮幹細胞の接着を確認後、無血清Epilife(クラボウ製)に交換し2日に一度同培地を交換し、コンフルエント迄培養した。培養細胞がコンフルエントに到達後、分化誘導を行い培養表皮シートを作製した。このシートを薄削した患部に移植し、適宜ドレッシングを行った。 培養表皮は、ほぼ100%生着し、カラーマッチも良好であった。色素脱失患者に於いては、培養表皮の継代を少なくする方向で、巨大母斑患者に於いては培養表皮の継代を増やす方向で、シート作成を行うことで、色素調整が可能であった。しかしながら、真皮深層に至るまで薄削すると培養表皮の生着とカラーマッチが困難であった。 本技術は、既に先天性色素沈着(巨大母斑症)の患者に応用され、有用性が確認されている。同時に顔面の白斑患者に応用されている。培養表皮による白斑治療後の、皮膚色の不一致はPUBA療法で対応できた。
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