研究概要 |
Sprague Dawley(SD)rat、6 week, BW190gを用い実験を行った。副腎機能温存例(Sham operation)では、LPS200ug/kgip(腹腔内投与)は全例生存した。肺・腹腔内共に炎症所見は強かった。ADX(両側副腎摘出)後LPS100-400ug/kgip群は全例死亡した。一方、ADX後、LPS50ug/kgip群では3例中1例生存した。肺障害の所見はあったが、腹腔所見はほぼ認められなかった。ADX後、LPS25ug/kgip群では3例中2例生存した。肺障害は軽度であり、腹腔所見はほぼ認められなかった。そこで、LPS100ug/kgipがADX後の致死量とした。Shamでも、LPS投与による強い全身炎症を認めたが全例生存し得たのは、LPS投与時の血圧低下が小さく、死亡しない可能性と考えられ、次に血圧測定を測定した。Group1 : sham、Group2 : ADX-water(水群)、Group3 : ADX+Dexamethasone(5.0μg/100gBW/day)(Dex群)、Group4 : ADX+Aldosterone(2.0μg/100gBW/day)(Ald群)、Group5 : ADX+Dexa+Ald(AldDex群)の5群を設定した。LPS-ip後の生存時間(平均時間)は、sham群死亡せず、水群20、Dex群51、Ald群63、AldDex群死亡せずであった。Sham群・Dexa+Ald群の予後が他群よりも極めて良いことが示された。また、体重変化は、水群とDex群は、LPS-ip後減少の一途を辿ったのに対し、sham群とAldDex群は、LPS-ip前と同様な体重増加を示した。Ald群はそれを上回り体重が増加した。従って、予後に影響する因子として、LPS投与時に脱水が無い、Dexaが過度の免疫応答を抑制し、臓器障害を防止する、が考えられた。特に、両方の条件を満たす場合のみ生存可能であると考えられた。
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