研究課題/領域番号 |
20592115
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
齋藤 元 秋田大学, 医学部, 講師 (20323149)
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研究分担者 |
南谷 佳弘 秋田大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (30239321)
小川 純一 秋田大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20112774)
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キーワード | heat shock protein / 急性肺障害 / 血管内皮細胞 |
研究概要 |
急性肺障害(acute lung injury : ALI)の病態の一つに肺毛細血管透過性亢進が知られており、その制御は治療に直結するため様々な研究が行われている。我々は肺毛細血管透過性の制御因子としての血管内皮細胞内vasodilator-stimulated phosphoprotein (VASP)のリン酸化に注目し、かつheat shock protein (HSP)抗炎症作用に関しても研究を継続しており、当該研究期間で以下の成果を得た。 血管内皮細胞(HUVEC)を培養した上下2層に分かれたチャンバーによる好中球血管外遊走モデルを用いて検討した。Control群では30分間のmigration assayで遊走した好中球カウントは80.2±15.1(/5HPF)であり、VASPリン酸化を促進するhydroxyethyl starch (HES)前処置では42.9.±13.2(/5HPF)と有意差をもって好中球血管外遊走を抑制した。またこの効果はHSP70 inhibitorであるquercetin前処置により70.9.±14.7(/5HPF)と抑制効果が抑えられた結果となった。またWestern blottingによるVASPリン酸化評価に関し、Control群では30分間のmigration assayでVASPのリン酸化に変化は見られなかった。一方HES前処置では30分後にVASPリン酸化増強を認め、quercetin前処置よりVASPリン酸化が抑制された。以上より、HESはVASPリン酸化を促進し結果として好中球血管外遊走が抑制され抗炎症作用を示すが、そのsignal transductionにHSP70が関与しており、HSP抗炎症作用はVASPリン酸化の上流に位置していると考えられた。
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