1.マウスSIRS、炎症性肺疾患モデルにおける、侵襲後の免疫・炎症、栄養・電解質・代謝変動の総合的解析:本年は、IL-17の急性肺損傷(ALI)/急性呼吸促迫症候群(ARDS)における病態生理学的意義を解明するため、IL-17欠損マウスを用いて、ブレオマイシン吸入後1週間以内に生じるALI病態の差異を検討した。IL-17欠損マウスにおいては、予想に反し野生型マウスに比べ生存率は有意に低下し、肺組織中の好中球数も増加していた。細菌内毒素誘発性ALIにおいても、同様の傾向を認めた。IL-18少量補充療法の応用については、熱傷前負荷を行わない細菌内毒素誘発ALIにおいても、病態の改善を認めたため、今後様々なSIRS、ALIモデルを用いた検討を予定している。 2.生体内細胞環境の変動を再現した培養環境下で、肺実質細胞、免疫細胞を培養した場合の、生理的機能、代謝機能や侵襲因子に対する反応性、抵抗性の解析:熱傷後細菌内毒素誘発ALIモデルにおける、少量IL-18補充療法の病態改善機序を継続して検討した。IL-18濃度変動に伴うマウス脾細胞の遺伝子発現を再度解析し、約100個のU字型または逆U字型変動を示す遺伝子を同定した。このうち、炎症との関連が疑われるIFITM1、IFITM2/3、SOCS1、SOCS3に関し、種々のIL-18濃度で培養したヒト単球系培養細胞MonoMac6における発現変動をリアルタイムPCR法にて解析したが、いずれも明らかな発現量の差を認めなかった。今後、他の遺伝子についても変動解析を予定している。
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