研究概要 |
本年度は雄野生型C57BL(20-25g)を用いて頭部外傷モデルを作成してgp91phoxの頭部外傷後の発現について検討した。 【western blotting法】 外傷後より経時的に深麻酔下に脳を摘出し、凍結試料を作成する。次にホモジネートした試料と抗gp91,p22モノクロナール抗体をもちいてwestern blotting法を行った。 【免疫組織学的手法】 外傷後より経時的に深麻酔下に灌流固定し脳を摘出し、凍結試料を作成する(土肥)。凍結切片を作成し抗gp91,p22モノクロナール抗体をもちいて免疫組織化学染色法を用いて経時的にgp91,p22の発現について検討し、同抗体を用いて蛍光二重免疫組織染色を行い、gp91phoxの発現細胞について検討した。さらに外傷後のスーパーオキシドアニオン産生細胞についても検討した。 【結果】gp91は外傷後早期より外傷周囲の皮質で発現し、2日後がもっとも発現が強かった。gp91phoxを発現している細胞は活性化ミクログリアが主体であったが、他のアストロサイト、ニューロンでも発言が認められた。外傷後のスーパーオキシドアニオン産生細胞はミクログリアが主体であり、それらのミクログリアではgp91phox免疫反応も陽性だった。【考察】本検討で脳損傷後におけるgp91phoxの動態と発現細胞が活性化ミクログリアであること、さらには脳損傷後のスーパーオキシドアニオンの産生がgp91phox-containing NADPHが主体であることが明らかとなった。次年度以降はgp91phox-containing NADPHの脳損傷における役割について遺伝子欠損マウスを用いて検討していく。
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