研究課題/領域番号 |
20592131
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
芝本 利重 金沢医科大学, 医学部, 教授 (90178921)
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研究分担者 |
倉田 康孝 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (00267725)
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キーワード | 心機能 / アナフィラキシーショック / 循環ショック / ラット / Emax / eEmax / dP / dtmax / 心機能 |
研究概要 |
本研究目的はラットのアナフィラキシーショック時に心機能が低下するか否かを前・後負荷の影響を受けない心機能指標を駆使して明らかにすることである。 アナフィラキシーは雄性SDラット(体重336±29(SD)g;n=5)を卵白アルブミン(1mg)で感作し2週間後に、抗原を静脈内投与して作成した。左室心尖部から挿入留置したミラーカテーテルにより左室圧を測定し、左心室容積は4個の超音波クリスタルにより測定した。大動脈弓部をオクルーダーで狭窄して後負荷を増加させて求めた左室圧・容積(P-V)関係からEmaxを算出した。さらに、中心静脈圧、体血圧を連続的に測定した。抗原投与により体血圧は116±7mmHgから投与後5分には46±6mmHgに低下し、10分には41±7mmHgと最低となり、その後、徐々に回復した。心機能指標であるEmaxは抗原投与前の322±134mmHg/mlから5分には1523±200mmHg/mlに増加した。15分には1518±279mmHglml、その後も高レベルを維持し、心機能の低下は見られなかった。Takakiらが提唱するP-V関係が直線回帰しないとき、PVAMLVVと等価の三関係を構築し、その勾配から求めたeEmaxは抗原投与前の1035±303mmHg/mlから5分にはその2倍の2468±159mmHg/mlに増加した。その後も高レベルを維持し、Emaxと同様の結果であった。一方、前負荷の影響を受けるとされるdP/dtmaxは抗原投与前の4193±800mmHg/secから漸減し、5分には3119±939mmHg/secに低下した。しかし、一回拍出量も著明に低下し、dP/dtmaxの低下は前負荷低下によるものと推察された。以上より、アナフィラキシー時の心機能は低下していないことを示唆される結果を得た。
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