研究課題
プロスタグランジン(PG)生成の初発酵素であるシクロオキシゲナーゼ(COX)が、アスピリンなどの抗炎症・解熱・鎮痛薬で阻害されることから、PGは急性炎症の症状発現に関与すると共に免疫反応・免疫炎症の様々なステップでサイトカイン・シグナルと協調して調節作用を発揮しているものと考えられる。急性炎症反応誘発時や免疫応答誘導時におけるPGの役割を検討する目的から、PG合成酵素ノックアウトマウス[Membrane-bound glutathione-dependent PGE_2 synthase(mPGES、C57BL/6N由来)ノックアウトマウスおよび、hematopoietic PGD synthase(hPGDS、BALB/c由来)ノックアウトマウス]を用いてエンドトキシン(LPS)投与後の炎症反応や、OVA免疫後の免疫応答などを比較検討し以下の結果を得た。in vitro実験;LPS刺激によるマクロファージ(mφ)からの活性酸素種、一酸化窒素生成能はWTマウスに比べmPGES-KO、hPGDS-KOマウスで亢進していた。mPGES-KOマウス由来mφはLPSによるアポトーシス誘導に感受性であり、hPGDS-KOマウス、WTマウスmφは抵抗性であった。in vivo実験;LPS腹腔投与(200μg/20g体重)4時間後に採血し、炎症反応の指標としてGPT、GOTを測定した。GPTは、mPGES-KO、hPGDS-KOマウスおよびWTマウス間で差を認めなかったが、GOTは、mPGES-KO、hPGDS-KOマウス共にWTマウスに比べ著しく低下していた。OVA免疫(OVA+フロインド不完全アジュバント、足踵注射)後の抗体産生パターンは、mPGES-KOマウスでTh2型、hPGDS-KOマウスではTh1型の傾向であり、アジュバントをAlumに変えた場合の報告とは逆の結果を示した。以上の結果よりPGE_2、PGD_2は異なる免疫応答調節機構を有していると考えられた。
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