研究課題/領域番号 |
20592134
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
笹野 泰之 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (30196191)
|
研究分担者 |
中村 恵 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (20431512)
秋田 博敏 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (10108540)
|
キーワード | 頭蓋骨 / 器官培養 / 石灰化 / カルシウム / リン / 炭素 / 元素濃度 / ラット |
研究概要 |
平成20年度は、胎生期ラット頭蓋冠を器官培養して、カルシウム(Ca)の総量と組織局所の元素濃度を指標とし、培養条件下における骨基質の石灰化過程について検討し、生理的石灰化の進行を再現する実験系を確立することを目的とした。 【方法】胎生18日齢および20日齢のWistar系ラット頭蓋冠を規格化して摘出し、骨形成誘導培地にて1日、3日および5日間培養した。培養頭蓋冠を硝酸で湿式分解し、原子吸光分光光度計を用いて培養頭蓋冠に含まれるCa総量を定量した。また培養頭蓋冠を固定後パラフィンに包埋して薄切し、von Kossa染色およびHE染色にて組織学的に検討した。さらに隣接切片をSEM-EDX(エネルギー分散型X線分析装置)で分析し、骨組織局所に含まれるCa、リン(P)、炭素(C)の相対的な元素濃度を定量した。 【結果】頭蓋冠のCa総量は、培養前に比較して、培養5日間で胎生18日齢頭蓋冠では約2.9倍に、また胎生20日齢頭蓋冠では約2.0倍に増加した。von Kossa-HE染色では、いずれの頭蓋冠でも培養前にvon Kossa陽性の骨基質が認められ、胎生18日齢頭蓋冠では5日間の培養期間で染色強度の増強が見られた。胎生18日齢頭蓋冠の全培養期間を通してvon Kossa陽性領域には骨芽細胞と骨細胞が常に認められたが、胎生20日齢頭蓋冠では培養3日以降、骨芽細胞は減少し骨細胞は萎縮する傾向を示した。さらに骨組織局所のCa元素濃度は、胎生18日齢頭蓋冠では培養5日間で約2.1倍上昇した。一方、P元素濃度には変化は見られなかった。また、胎生20日齢頭蓋冠ではCaとPの元素濃度はいずれも培養5日間で変化しなかった。 【結論】胎生18日齢ラット頭蓋冠培養では骨芽細胞および骨細胞が培養環境下で活性を保ち石灰化が生理的に進行したものと考えられる。胎生18日齢頭蓋冠を用いて、骨基質の石灰化進行を培養条件下で再現できることが示された。
|