研究課題
巨大色素性母斑細胞の治療に向けたE-cadherin発現の機能解析巨大色素性母斑症は美容的によくないだけでなく放置すると悪性黒色腫発生の母地にもなる。現在の治療は表面からの外科的切除によるが、深部母斑細胞除去は困難で限界がある。母斑細胞の分布には以前から上皮性因子が影響していると言われているので、E-cadherinの発現解析をおこなった。その結果症例では浅い部位の母斑細胞ほど細胞膜表面にE-cadherinが多く分布することがわかった。しかしこの膜表面の分布は光顕的に上皮細胞とは微妙に異なり、また初代培養するとE-cadherin陽性細胞はカテニン系が存在するにもかかわらず上皮様の敷石状接着しないことがわかった。免疫電顕法を用いて調べると実は母斑細胞表面のE-cadherin分布は接着装置ではなく表面から細く伸びる突起に斑点状に分布していることがわかった。あたかもセンサー様の分布なのでボイデンチェンバーを用いて、移動能に与える影響を調べてみた。その結果E-cadherin陽性母斑細胞が多いほど移動する細胞も多い結果になった。母斑細胞でE-cadherinは接着よりも細胞移動時の探索子として働く可能性があり、E-cadherin発現を制御することは治療面で重要な手法となるかもしれない(論文発表済み)。癌細胞の移動・浸潤に関係する新しい因子について近年上皮間葉移行という定義で定着していた細胞が移動を開始するメカニズムが注目されている。我々は腎癌細胞で特に骨転移を起こしやすい傾向に注目し、RANKL発現をおこなった。その結果腎癌培養細胞株2種類にRANKLを恒常的に発現するようにして、ヌードマウス移植をおこなったがいずれも骨組織内での増殖・浸潤には失敗した。しかし培養条件下ではこれらのRANKL導入細胞株では顕著な移動能の亢進が見られた。従来RANKLは破骨細胞誘導との関係が注目されているが、まったく異なる細胞移動能に影響している可能性がある。(現在投稿中)
すべて 2009 2008 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)
Development, Growth and Different iat ion 51
ページ: 55-67
Journal of Dermatological Science 52
ページ: 21-30
Journal of Cell Science 121
ページ: 1613-1623
http://www.tmd.ac.jp/dent/opat/katsube.files/katsubel.html