研究概要 |
本研究では口腔癌の新たな診断・治療体系の構築に寄与すべく、近年、ゲノム情報発現系の新たな調節・制御分子として注目されているmicroRNA(miRNA)に着目し、癌特異的エピゲノム異常を指標とした癌抑制遺伝子型miRNAの網羅的探索と詳細な解析を強力に推進することによって、口腔癌の発症・進展過程におけるmiRNAとその標的分子を中心とした新たな分子機序の解明と本研究成果に基づいたテーラーメード医療の実現を目指す。今年度は、先行して進んだ肝細胞癌での解析において、5'側近傍500bp以内にCpG islandが存在する39種類のmiRNA(43CpG island)の癌細胞におけるDNA過剰メチル化を指標とした検討と発現解析を組み合わせた絞り込みの結果、細胞株ならびに臨床検体においてDNA過剰メチル化と発現抑制が高頻度に一致するmiR-124とmiR-203を選出し、これらの癌抑制遺伝子としての抗腫瘍活性を機能的に確認するとともに、CDK6やIQGAP1などの直接的な標的分子を複数同定し、報告した(Carcinogenesis, 2009)。一方、口腔癌については、最新のバイオインフォマティクスに基づき、5'側近傍500bp以内にCpG islandが存在する45種類のmiRNA(49CpG island)に関して、上記の肝細胞癌での検討と同様の網羅的メチル化探索などを順調に進め、選出した複数種類の候補miRNA遺伝子において癌抑制遺伝子活性の確認に至っている。今後は、上記研究の最終年度内での完了を図る。
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