研究課題/領域番号 |
20592137
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
磯田 竜太朗 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 特任研究員 (40456942)
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研究分担者 |
川端 重忠 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (50273694)
寺尾 豊 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 准教授 (50397717)
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キーワード | 歯周炎 / 動物モデル / 常在細菌 / 粘膜免疫 / 免疫寛容 / 歯周病原性細菌 |
研究概要 |
ヒトの身体の表面には常在細菌と言われる細菌が生息し、とりわけ口腔や腸管の粘膜の表面には多くの細菌が我々と共存している。通常、これらの細菌は我々に病気を引き起こさず、むしろ病原菌が体内に侵入するのを防いでいるとも考えられている。本研究では、歯槽膿漏(歯周病)の原因菌と目されている細菌も、歯周病ではない人の口腔内にも存在する常在細菌であることに注目した。マウスロ腔内常在細菌については詳細が明らかにされていない。そこでヒト歯周病の原因菌の一つとして良く調べられているAggregatibacter actinomycetemcomitans Y4株(以後A.a.菌とする)をマウス常在細菌として組み込む動物モデルの作製を試みた。 ヒトもマウスも生まれた時は無菌の状態で生まれてくるが、その後いろいろな細菌に暴露されることによってそれらを常在細菌として取り込むと考えられている。そこで、マウスが生まれる直前から分娩後3週間目に離乳するまで、A.a.菌を浮遊させた飲料水を自由に飲ませ、A.a.菌の定着を試みた。 ヒトやマウスなど免疫系が良く発達している生物では、体内に侵入する能力を有する病原菌に対しては、その菌を特異的に認識して結合するIgG抗体が主に産生されて防御が行われる。一方、体内に入り込まずに身体の表面に棲息する常在細菌対しては、病原菌に対する免疫反応とは異なり、粘膜面に分泌されるIgA抗体が多く作られ、常在細菌が体内に入ってくるのを粘膜のレベルで未然に防いでいる。上記の方法を用いたこれまでの研究では、A.a.菌がマウスに常在細菌として定着したことを確認するには至らなかったが、A.a.菌特異的なIgA抗体のレベルが上昇するという、常在細菌と類似した免疫応答を示すことを確認した。我々はこの成果を2009年4月の国際学会で発表する。
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