研究概要 |
昨年の研究でPorphyromonas gingivalis ATCC33277株のConjugative transposon、CTnPg1がP.gingivalis菌株間、さらには類似菌種間での転移能を持つことを示した。本年度はCTnPg1の転移に必要な遺伝子の同定を行った。これまでに報告された他菌のCTnの研究からCTnの転移に係る遺伝子としては、CTn内の遺伝子のうちTra gene,integrase gene、DNA excision proteinと染色体上のrecA遺伝子が報告されている。そこでこれらの遺伝子の変異株を作成して、CTnPg1の転移への影響を調べた。PCRにてCTnPg1が染色体から切り出されてintermediated formを形成するか確認したところ、染色体からの切り出しはint gene依存でrecA gene,DNA excision protein,Tra geneに非依存であった。donorとしてATCC33277株のCTnPg1内の遺伝子の変異株、recipientにCTnPg1の伝達が認められているBacteroides thetaiotaomicronを用いCTnPg1の伝達を共培養にて検討した。CTnPg1の伝達はTra gene変異株で全く見られなかった。またrecipientにP.gingivalis W83株のrecA変異株を用いてもCTnPg1の転移は全く見られなかった。これらの結果はCTnPg1の染色体への挿入はTra geneとrecAに依存性であることを示していた。
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