研究概要 |
味蕾は微細構造的ならびに免疫組織化学的に複数の細胞型から構成されることが知られている。この中でII型細胞はGタンパク質共役味受容体(GPCR)が発現することから、味覚情報伝達細胞(味細胞)とみなされている。しかしながら、II型細胞は神経と広く連接するにもかかわらず,微細構造的にシナプス小胞はみられず、化学的シナプスの形をなしていない。情報伝達物質に関しても、いまだよく理解されていない。我々は、II型細胞にはよく発達した滑面小胞体、ミトコンドリアに加えて脂肪滴が存在し、ステロイド産生細胞に形態的に類似することを見いだした。さらに性ステロイド生合成に必須の酵素(P450scc,P450arom)を発現することを免疫組織学的に示し、II型細胞がエストロゲン合成能をもつことを示してきた。本研究では、エストロゲン受容体が味蕾に発現するのかをRT-PCRと免疫組織化学的、ならびに免疫電顕的に観察したものである。その結果、おそらくII型細胞と思われる味蕾の一部の細胞に、エストロゲン受容体(ER-α,とGPR30)が発現することが明らかとなった。
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