研究概要 |
【研究の経過】 1) TissueFAXを用いたマーカー候補分子のmorphometrical analysis:標本中における個々の細胞のマーカーの発現量を測定し、前癌病変がどの様なphenotypeの細胞のpopulationよりなるかその解析における最適なパラメータを確立した。それにより各種マーカによる解析を行っていく過程において、核の信号強度の各種代表値を解析するのみで前癌病変と正常粘膜上皮を区別し得る可能性が得られた。 2) TissueFAXを用いた前癌病変のmorphometrical analysisにおける最適な核染蛍光試薬の探索:本実験系における最適な核染蛍光試薬を検索したところ、SYTOXが最も適していることが明らかとなった。 3) TissueFAXを用いた核染のみによる前癌病変のmorphometrical analysis:正常粘膜上皮と前癌病変は核の信号強度の分散値と合計値を用いたサイトグラム上で差が見られたことから、各症例のそれらの変量の平均値による散布図を作成したところ、正常粘膜上皮と前癌病変では異なる分布パターンを示した。 【研究結果】 TissueFAXを用いた前癌病変の主観性を排した前癌病変の診断の実現に向けた基礎的研究結果が得られた。これまでに得られたホルマリン固定標本を用いた境界病変のプロテオミクス解析結果より得られたマーカー候補分子を効率的に組み合わせることにより、主観性を完全に排した定量的数値情報による口腔粘膜前癌病変の診断システムの実現が期待し得るものと考える。(第15回International Congress on Oral Pathology and Medicine,韓国,ソウル,平成22年8月)
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