研究概要 |
研究内容 【目的】NELL1は新規骨形成タンパク質であり、昨年度の報告で、我々は頭蓋骨欠損部位には膜性骨による、大腿骨欠損部には軟骨性骨による骨新生を起こすことを報告した。本年度はこのシリコンモールド系へのNELL1添加による脂肪組織反応の解析を試みた。【方法】Wistarラット6週齢下腹部皮下脂肪組織を血管柄を付けた状態でシリコンモールド内に封入した.この際、NELL1 2μgをコラーゲンスポンジに含浸させて脂肪組織と封入した。モールドは大腿部に筋肉ポケットを作成し埋入した.埋入2週間後に摘出し解析を行った。【結果】NELL1添加群では、封入脂肪組織ないに管状構造を示す上皮様構造が認められた。 一部では管腔を形成し、管腔に分泌物が認められた。対照群ではそのような構造は認められなかった。透過型電子顕微鏡による解析で、この上皮様構造を形成する細胞と周囲結合組織間には基底膜が存在すること、また、細胞間にはzonula adhesionが形成されていた。細胞体には大きな脂肪的が認められた。また、管腔の分泌物はelectron denseであり、管腔を形成する細胞内には多数のelectron denseな顆粒が認められた。【考察】zonula adhesionと基底膜の存在から、NELL1は脂肪組織細胞の上皮細胞への分化、すなわち、mesenchymal-epithelial transition (MET)を誘導することが示唆された。上皮細胞内には大型の脂肪滴が含まれていることから、脂肪細胞のMETの可能性が強く示唆された。また、管腔内分泌物の性状は不明であるが、誘導上皮細胞内の脂肪滴由来である可能性も示された。【結論】NELL1による脂肪組織でのMET誘導が示された。 【業績】NELL1による組織・臓器再生制御技術産業財産権の種類・番号,PCT/JP2009/063768国際出願
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