研究概要 |
唾液腺の腺房細胞内および腺房細胞間を様々な修飾を受けながら結合組織側から腺腔内へと輸送・分泌される唾液分子および水の透過経路(細胞内経路/trans-cellular pathwayと傍細胞経路/para-cellular pathway)とがある。本研究では、唾液腺の分泌にともなう唾液腺腺房細胞におけるタイト結合の構造と、構成蛋白質の局在変化の検討を通して、腺房細胞間の傍細胞経路における選択的な透過性の調節を明らかにすると共に、細胞内経路による唾液分泌に関して、腺房細胞の分泌顆粒における、アクアポリンAquaporin/AQPの局在と機能について研究を行なっている。平成20年度は、唾液分泌にともなうタイト結合による傍細胞経路における選択的調節機構およびその三次元的構造変化を、主として共焦点レーザー顕微鏡および、新鮮組織の液体ヘリウム急速凍結レプリカ法を中心として、学外の研究機関と共同で研究を遂行している。1)岡崎国立共同研究機構における共同研究で、同・生理学研究所に設置された金属圧着急速凍結固定装置をもちいて、液体ヘリウムにより未固定新鮮組織の急速凍結固定を行い、生きたままの状態の構造を瞬間的に凍結固定し、レプリカ上で、細胞間分泌細管のタイト結合の接着部位の膜内粒子と直下の細胞骨格を透過電子顕微鏡にて観察し、タイト結合とアクチンタイト結合部から腺腔側膜直下のアクチン細胞骨格が分泌にともなって改変されて、タイト結合を介した水やイオン、低分子量の分子等の傍細胞輸送経路の透過性を増大させることが明らかとなった(投稿準備中)。また、2)AQPの検討では、AQP5のみならず、AQP6が同様に分泌顆粒膜に存在することを明らかにし、AQP6がタイト結合部の細胞膜と分泌穎粒膜で、水と陰イオンの輸送に密接に関与していることを示した(Sugiya H.et.al., J Cell Mol Med.,:2008.Matsuki-Fukushima M., et.al., Cell and Tissue Research,:2008)。
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