研究課題/領域番号 |
20592157
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
田谷 雄二 日本歯科大学, 生命歯学部, 准教授 (30197587)
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研究分担者 |
添野 雄一 日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (70350139)
島津 徳人 日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (10297947)
青葉 孝昭 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (30028807)
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キーワード | 歯学 / 病理学 / 舌発生 / 細胞移住 / 上皮間葉相互作用 / 細胞間接着 / 筋分化 / 遺伝子発現 |
研究概要 |
舌の形態形成は後頭体節を起点とする下顎突起への筋前駆細胞の移住、下顎突起背側からの外側舌隆起の発生、その後の第2-4鰓弓由来の組織との複合体形成として特徴づけられる。本研究では、舌初期発生における外側舌隆起の正中溝上皮とその直下の筋前駆細胞群との細胞間相互作用に焦点を絞り、下顎突起の癒合→外側舌隆起の形成誘導→舌膨隆の成立における時期・部位特異的な遺伝子発現と分子局在を明らかにする。平成21年度においては、胎生10.5日の下顎突起正中部の舌予定領域と胎生11.5日の外側舌隆起におけるマイクロアレイ解析を完了した。胎生10.5日と胎生11.5日の間で、5倍以上の発現変動を示す遺伝子151個(発現上昇106個、発現低下45個)を同定した。GO解析とMGI等のデータベースの検索により、発現上昇を示した遺伝子106個のうち、骨格筋に関連した遺伝子は半数の53個であり、舌筋の発生に向けた遺伝子が作動し始めていることが判明した。これらの遺伝子の中には、筋芽細胞への決定因子MyoD・Myf5と筋管細胞への分化誘導因子Myogeninが含まれていた。胎生11.5日の外側舌隆起の筋系譜細胞集団では、筋管細胞分化を示す組織学的所見(筋芽細胞間の融合など)がないにもかかわらず、Myogeninの発現上昇を示したのが注目された。ただし、筋線維への成熟を誘起させるMyf6(Myogeninの下流で働くと想定される)の発現は検出されなかった。さらに、パスウエイ解析から、舌筋における初期の分化過程(胎生10.5~11.5日)では、四肢や体節の骨格筋発生と同様にPax3→MyoD・Myf5→Myogeninのカスケードが成立しており、これらの筋分化の誘導因子を制御する遺伝子(5倍以上の発現変動を示す)として、Mef2c・Meox1・Meox2・Msx1・Msx2・Dlx5が働いていると考えられた。
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