研究課題/領域番号 |
20592158
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
倉淵 眞悟 日本歯科大学, 生命歯学部, 准教授 (90170076)
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研究分担者 |
細井 和雄 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス, 教授 (10049413)
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キーワード | 唾液腺 / 顆粒性導管 / 表現型 / Androgen / 甲状腺ホルモン / ホルモン受容体 / 免疫組織化学 / 電子顕微鏡 |
研究概要 |
顎下腺導管の分泌顆粒を保有する領域、顆粒性膨大部(GCT)の分化の過程は主にAndrogenと甲状腺ホルモンに依存している。ホルモン依存性は舌下腺、耳下腺の顆粒性導管細胞にも適応できるが、腺によって誘導される腺細胞の数や腺細胞としての成熟の程度(表現型や分泌成分)が異なる。この理由は解明されていない。 1)下垂体を摘出したICRマウス雄の舌下腺を材料として、顆粒性導管の構築におけるホルモンの役割を検討した。対照とした正常な雄マウス舌下腺導管にはGCT-様細胞が認められる。下垂体を摘出すると、GCT-様細胞のすべてが消失しmK1のみを産生する極めて小型の顯粒を保有する均一な細胞群となる。ホルモン処理により一部の細胞は大きな顆粒を保有するGCT-様細胞に発達するが、mK1-陰性細胞が出現する。処理の効果はAndrogenとT_3の組み合わせ投与が最も効果的で、顎下腺GCTと同様にこれらのホルモンは腺細胞の表現型やGCT特有の分泌成分(mK1を除く)の産生に対して促進的に作用することが示唆された。しかし、mK1に対しては阻害的であり、顎下腺の場合と類似性が示唆された。 2)ホルモン処理によってICRマウス耳下腺に誘導されたGCT-様導管細胞の分泌成分を免疫染色の技法によって明らかにした。GCT-様細胞の誘導にはAndrogenとT_3の組み合わせ投与が最も効果的で、その結果、多くのGCT-様細胞が導管に出現したが、顎下腺GCT細胞よりもやや小型で、mK1、EGF、NGFを発現したが、レニンに対しては陰性であった。耳下腺の顆粒性導管細胞では、ホルモンは表現型やGCT特有の分泌成分(mK1を除く)の産生に対して促進的に作用するが、mK1を阻害するレベルにまで達しない。この結果から、顎下腺や舌下腺と比較して、耳下腺ではホルモンに対する反応性が極めて低いことが考えられる。
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