研究概要 |
顎下腺・顆粒性導管(GCT)細胞は、分泌産物と腺細胞の表現型から少なくとも4種以上のサブタイプに分化していることは、既に報告した(Kurabuchi et al.2002)。また、甲状腺ホルモンとアンドロゲンを併用することで、耳下腺にもGCT細胞を誘導し、マウス三大唾液腺導管の類似性について報告している(Kurabuchi2008;Kurabuchi&Hosoi2009)。ところで、甲状腺ホルモン処理によって顎下腺の甲状腺ホルモン受容体やアンドロゲン受容体が増加することやマウス顎下腺ではアンドロゲン受容体を欠くGCT細胞の存在も知られている。しかし、免疫染色等、組織学的に受容体の局在と腺細胞のサブタイプと関連付けた報告はみあたらない。 1)当該年度では、1種の甲状腺ホルモン受容体一抗体1種(rabbit polyclonal,TRα1:sc-772,Santa Cruz Inc)、3種のアンドロゲン受容体-抗体(rabbit polyclonal,AR(C-19):sc-815,Santa Cruz Inc;Anti-androgen receptor polyclonal antibody Tkermo Sci.;Androgen receptor antibody(ab74272),Abcam)を購入して、局在と細胞の同定を試みた。種々の固定法や包埋材料、クリオスッタット切片の作成等を試みたが、いずれの受容体の検出も満足のゆく結果が得られていない。抗原の賦活処理の試み等、現在も継続している。 2)受容体の免疫組織学的な検討と並行して、ウエスタンブロティング法を用いて、ホルモン処理によって顎下腺、舌下腺、耳下腺のホルモン受容体の量的変動を検討した。相対的な受容体量の増加と、ホルモンによって誘導されたGCT細胞数の増加と並行する様な結果が得られた。
|