研究概要 |
平成22年度は、生後6、12、18ケ月のラット舌下腺および顎下腺組織の試料採取に加えて、生後24ケ月の試料採取を中心に行いました。生後24ケ月の分泌細胞の分泌物質の性状を組織化学的に検討する目的で、糖質検出のためのPAS(過ヨウ素-シッフ反応)、アルシャンブルー(AB)染色を行ったところ、生後18ケ月までの両唾液腺と比較して、両唾液腺で染色性の低下がみられました。 さらに、導管および腺房細胞に発現する蛋白質の局在を検討する目的で、各種抗体を用いた免疫組織学的検討を行いました。コンゴーレッド染色によるアミロイド蛋白の発現結果は、生後6、12ケ月では、舌下腺、顎下腺ともにどの部位にもアミロイド蛋白の発現はみられませんでしたが、生後18ケ月で両腺ともに、導管周囲および腺房細胞間、小葉間結合組織内にアミロイド蛋白の発現がみられ、この所見は生後24ケ月の舌下腺、顎下腺でも同様に観察されました。生後6、12、18ケ月までの舌下腺の粘液細胞で良好な反応を示したSMGD抗体とMucin19抗体は、生後24ヶ月においてSMGD抗体は同様の反応を呈し、Mucin19抗体の反応性は生後18ケ月と比較してやや低下していました。生後6、12、18ケ月までの顎下腺の漿液細胞で良好な反応を呈したGRP抗体は、生後24ヶ月でやや反応性の低下がみられました。また、生後18ケ月までの顎下腺の顆粒管導管と介在部導管に良好な反応を呈したSMGB抗体,SMGC,抗体SMGD抗体のうち、特に生後24ケ月になるとSMGC抗体で、顆粒管導管と介在部導管の両者の染色性が生後18ケ月に比べて低下し、逆にSMGD抗体は生後18ケ月と比較して介在部導管でより強い反応性を示していました。今年度は最終年度にあたるため、今回の結果の総括を行います。
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