【目的】転写因子NF-κBのp65サブユニットの転写活性領域には幾つかのセリン残基が存在し、セリン残基のリン酸化がp65の転写活性に重要な役割を担っている可能性が報告されている。特に276番目(S276)および536番目(S536)のセリン残基の重要性が唱えられているが、これらのリン酸化の生理的役割について統一した見解は得られていない。また培養細胞を用いた実験では、発生過程や特異的な臓器・組織での役割が解明できないことが最大の欠点である。そこでS276をアスパラギン酸およびS536をアラニンに置換したノックインマウス(S276DおよびS536A)を作製し、各々のリン酸化の役割を検討する。【方法】マウスp65ゲノム遺伝子をクローニングし、276番目および534番目のセリンを各々のアミノ酸に置換したコンストラクトを作製し、相同組換えによって各々のノックインマウスを作製し、解析する。【結果】S276Dマウスは著明な成長障害が認められ、生後8~20日で死亡した。マウスの様々な臓器で炎症性サイトカンの発現上昇が認められ、I型TNF受容体欠損マウスと交配させると、その表現形はレスキューされた。一方、S534Aは皮下脂肪の蓄積が認められた。
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