歯牙の前後軸としての近遠心軸に対する頬舌側非対称性の決定因子・パターン発生を明らかにするために、歯胚形成段階におけるCaイオンの非対称性分布の存在の検討を試みた。本研究では、胎生マウスの歯胚から外胚葉部および間葉部組織を摘出し構造を維持したまま器官培養を行う事を予定していたが、その摘出器官培養は非常に難しく、現在、良好なデータが得られるよう、摘出に関して工夫を行っている。 しかしながら、21年度中に明らかにする予定であった歯胚におけるCaイオン濃度空間局在の経時的変化に関して、この変化をもたらす(1)細胞外からのCa^<2+>流入経路、(2)細胞内でのCa^<2+>放出経路の両者を駆動する膜タンパク質の機能特性を明らかとするための細胞膜電流(パッチクランプ法)記録装置、および細胞内Ca^<2+>指示薬を用いたCaイメージング装置の設置と調整が終了した。加えて両者の同時計測も可能となった。平成22年度より、一過性Ca^<2+>濃度変化を指標に、歯胚におけるCaイオン濃度空間-時間局在を生物物理学的(細胞外イオン依存性)、薬理学的(各種チャネルブロッカーの応用)に検討する。
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