研究概要 |
歯原性性上皮の腫瘍化や細胞分化における歯の発生プログラム制御因子の影響を解明するため、オートファジー関連分子であるBeclin1およびATG5について検索した。 1.方法:エナメル上皮腫41例(濾胞型21例、叢状型20例;棘細胞腫亜型10例、顆粒細胞亜型7例を含む)、悪性エナメル上皮性腫瘍6例と対照の歯胚11例を用い、Beclin1およびATG5の発現についてRT-PCR法,ウエスタンブロット法、免疫組織化学により解析した。 2.RT-PCR法およびウエスタンブロット法の結果:全ての歯原性組織において2Beclin1およびATG5のmRNA発現が認められた。 3.免疫組織化学の結果:Beclin1は、歯胚・エナメル上皮腫・転移性エナメル上皮腫では基底膜近傍の上皮性細胞に反応した。ATG5は、歯胚では殆どの上皮成分に反応したが、エナメル上皮腫と転移性エナメル上皮腫ででは辺縁部腫瘍細胞で中央部腫瘍細胞より反応は強かった。また、顆粒細胞亜型のエナメル上皮腫では、Beclina,ATG5ともに顆粒を有する腫瘍細胞に反応が著明で、エナメル上皮癌・明細胞性歯原性癌では殆どの腫瘍細胞に陽性だった。 4.考察:歯胚・エナメル上皮腫性腫瘍におけるBeclin1およびATG5の発現より、オートファジーが歯原性上皮の細胞分化や増殖の制御に関わることが示唆された。
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