研究概要 |
目的)顎関節症患者における下顎頭と関節円板の機能異常を3T pseudodynamic MRIを用いて診断する方法を検討した。 材料と方法)被験者9名(患者8名、正常1名)に3T静止MR画像(PDI,T2WIの矢状断、冠状断)を撮像した後、閉口位から最大開口位まで、フラップを咬むように指示し、pseudodynamic MR画像を撮影した。pseudodynamic MR面像の矢状面の各顎位の画像で、下顎頭(Cd)、関節円板前端(Da)および後端(Dp)の座標を計測した。それぞれの座標を結んだ運動軌跡と座標間の距離を算出した運動速度のパターンを評価した。顎関節症患者において、臨床所見、静止MR画像、pseudodynami画像(3種類の運動軌跡パターンと7種類の運動速度パターン)を比較した。また、DaおよびDpは識別度よりそれぞれ7段階に、Dpの形態は3種類に分類し、運動異常との関連を検討した。 結果)患者はpseudodynamic画像による正常運動と異常還動のポイント法による評価により、3種類の機能的診断パターンを示した。また、75%(12/16関節)において、pseudodynamic TMJ分析法は有効であった。下顎頭位が関節結節に達していない開口位の場合、Daの識別度が高いものは、顎関節運動の正常なものに多かった。下顎頭位が関結節を超えた開口位の場合、Dpの識別度が高いものは、顎関節運動の正常なものに多かった。Dpの形態と顎運動異常との関連はなかったが、顎関節運動異常を示す関節において、顎関節の運動中にDpのタイプの変化を示すものが多かった。 結論)3T pseudodynamic MRによる還動軌跡と運動速度のパターンは関節円板前端および後端、および下顎頭における罹患側と病変の程度を明らかにした。下顎頭後縁の形態の開口運動時の変化も機能異常の診断に有用であった。3T pseudodynamicMRにより、関節円板の器質的変化の生じる前の、関節円板の弾性の変化が運動分析より,明らかにできる可能性が示唆された。
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