研究課題
ピンホールコリメータを応用した微小転移リンパ節の分子イメージングシステムの開発を目的に、(1)腫瘍と炎症モデルの作成:購入した扁平上皮癌細胞の細胞株SCC-158を培養し、実験に要する細胞数を確保した。購入したオスFisher系ラットを12週齢、体重250〜300gまで飼育した後に2群(10匹x2群)に分け、1群の背側部皮下に扁平上皮癌細胞(7x10^6cells/100μL)を摂取し、腫瘍径が10mm(摂取後約2週間後)となった時期に腫瘍と転移リンパ節を摘出した。また、他の1群の背側部皮下にテレピン油10μLを注入し、約3日後に炎症巣を摘出した。摘出した腫瘍組織、転移リンパ節と炎症巣組織は通常の方法でパラフィン包埋後、約3〜4μmの薄切標本を作成した。これらの標本について、免疫組織化学染色を行ない、細胞膜上の種々の輸送関連蛋白の発現の度合いを検討した。(2)ピンホールコリメータの作成:リンパ節微小転移組織(病変)の撮像のためのピンホールコリメータを試作(特注)し、ピンホール径、幾何学的撮像方向などの物理特性を検討した。(3)結果:転移リンパ節、腫瘍組織と炎症巣組織の免疫染色ではNa-K-ATPase、P-gp、GLUT、LATなどの輸送関連蛋白が細胞膜に発現した。また、ピンホールコリメータの空間解像度はピンホール径が1mm〜7mmで約5mm〜1cmであった。これらの組織標本の結果をもとにリンパ節微小転移ファントムを作成し、ピンホールコリメータによる撮像を行ない、画像システムを構築する。
すべて 2008
すべて 学会発表 (1件)