研究課題/領域番号 |
20592207
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
川畑 義裕 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (70274842)
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研究分担者 |
佐藤 強志 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 准教授 (60098978)
馬嶋 秀行 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 教授 (60165701)
仙波 伊知郎 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 教授 (60145505)
中村 典史 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 教授 (60217875)
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キーワード | 核医学 / 放射性薬品 / 輸送蛋白 / 腫瘍マーカー / 免疫組織染色 |
研究概要 |
本研究は核医学における放射性薬品輸送蛋白(P-glycoprotein、Na/K-ATPase、Glucose transporter)の腫瘍マーカーとしての可能性を検討することが目的である。これまでの検討で、口腔悪性腫瘍患者の病理組織の免疫染色ではP-glycoprotein、Na/K-ATPase、Glucose transporter、L-amino acid transporterが腫瘍細胞膜で強く発現する事が明らかになった。また、Glucose transporterはPET検査のS.U.V.値と、他の放射性薬品輸送蛋白は悪性腫瘍の組織分化度、悪性度、放射性医薬品の腫瘍組織集積度と相関を示した。また、実験動物の悪性腫瘍組織でも、P-glycoprotein、Na/K-ATPase、Glucose transporter、L-amino acid transporterの発現は患者の結果と同様に明らかな相関がみられた。これらの結果から放射性医薬品輸送蛋白は腫瘍診断における腫瘍マーカーとしての可能性が高いことは明らかであり、現行のSCCやサイトケラチンなどの腫瘍マーカー測定以外の有用な検査法としての可能性が示唆された。ここで問題点となるのは、輸送蛋白を簡便に定量分析する手技の確立である。我々は口腔に露出した腫瘍では唾液中に種々の腫瘍由来物質が存在する事に注目し、唾液からの抽出、定量、分析を模索している段階である。唾液中からは多くの腫瘍由来の蛋白質が同定されているが、輸送蛋白についての同定報告は本邦、諸外国を含めて報告されていない。この原因として輸送タンパク量が微量である事が大きな問題と考えられた。今後は感度の高い定量、分析法を確立し、唾液中に存在する放射性薬品輸送蛋白を腫瘍マーカーとして捉える事で、簡便な腫瘍診断法の臨床応用を目指す。
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