研究課題/領域番号 |
20592209
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
田中 卓二 金沢医科大学, 医学部, 教授 (40126743)
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研究分担者 |
杉江 茂幸 金沢医科大学, 医学部, 教授 (60187648)
安井 由美子 金沢医科大学, 医学部, 助教 (90434472)
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キーワード | 肥満 / 舌発がん / db / dbマウス / ob / obマウス / 発がん感受性 |
研究概要 |
肥満の舌発がんに及ぼす影響について4-NQO誘発舌発がんモデルを使用して、雄性db/dbマウス、ob/obマウス、wild type(WT)マウス(C57BL/6J)にて検討した。マウスはそれぞれ16匹、計48匹を使用し、4-NQOは20ppmの濃度で、夜間(17:00-9:00)に飲水投与し、2週間投与群、4週間投与群、8週間投与群、無処置群の計4群を設けた。実験は20週で終了し、舌の病理学的解析を行った。その結果、舌扁平上皮がんはdb/dbマウスの4-NQO8週間投与群の1匹のみに1個発生した。舌扁平上皮乳頭腫の1匹当たりの平均発生個数は、2週間投与群でdb/dbマウス0.75、ob/obマウス1.00、WTマウス0.25、4週間投与群でdb/dbマウス2.25、ob/obマウス0.25、WTマウス0.50、8週間投与群でdb/dbマウス2.00、ob/obマウス1.75、WTマウス0.75であった。異形成の1匹当たりの平均発生個数は、2週間投与群でdb/dbマウス5.50、ob/obマウス1.50、WTマウス2.00、4週間投与群でdb/dbマウス7.75、ob/obマウス4.75、WTマウス4.25、8週間投与群でdb/dbマウス11.00、ob/obマウス8.50、WTマウス5.75であった。腫瘍、異形成を含めた舌増殖性病変の1匹当たりの平均発生個数は、2週間投与群でdb/dbマウス6.25、ob/obマウス2.50、WTマウス2.25、4週間投与群でdb/dbマウス10.00、ob/obマウス5.00、WTマウス4.75、8週間投与群でdb/dbマウス13.3、ob/obマウス10.3、WTマウス6.50であった。いずれのマウスにおいても無処置群には舌増殖性病変の発生はなかった。これらの結果から、肥満マウスでは4-NQO誘発舌発がんに高感受性であり、肥満は舌発がんに対してリスクが高いことが判明し、感受性はob/obマウスに比べ、db/dbマウスに高かった。今後、肥満マウスの舌発がん高感受性の機構について炎症性サイトカインの関与など、詳細な検討を加え、またdb/dbマウスとob/obマウスの感受性の相違の原因についても検討する予定である。
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