研究概要 |
CTの普及によって診断は飛躍的に進歩したが,被曝量の増加も歴然とした事実である.今後歯科用CTは若年者を対象とすることが多い顎変形症や矯正治療の領域で使用が増加するものと思われ,低年齢層への被曝量の増大が懸念される.また画像診断法の良し悪しは正しく診断できるかどうかという「正確性」といつだれが診断しても同じ結果か得られるという「再現性」の2つの面から評価されなければならない.CTの高い「正確性(計測精度)」はすでに認められているが,「再現性」についてはその評価法に問題があり十分な確証が得られていない.2008年度はまず再現性の評価方法を確立することを目的とし,以前の研究で開発した95%確率楕円を使用する方法を3次元的に拡張し,歯科用CTデータに応用できることを確認した.さらに進めて提案された座標系の再現性を評価する方法を開発した.2009年度はこの方法の有用性をファントム実験によって検証した.2010年度は実際に顎骨や歯に関連するランドマークについて再現性を件として,3次元ボリュームデータの3断面それぞれにおいて詳細に設定法を定義することで再現性の向上が得られることを確認した.再現性の高い設定法で種々の計測を行うことは被曝量の低減に関連することが示唆された.
|