研究概要 |
本研究では、口腔扁平対苔癬に浸潤しているリンパ球の免疫学的特徴をTCRレパトア解析を用いて解明し、口腔扁平苔癬の病態形成メカニズムの解明および悪性度や癌化率などの新規診断法の開発の端緒を開くことを目的とした。口腔扁平対苔癬に関与する抗原特異的免疫応答に対する研究手法としては、獲得免疫系の主体であるT細胞の全TCR遺伝子を同一条件下で増幅し、生体内の発現頻度を反映させることができるAdaptor-Ligation-PCR法によるTCRレパトア解析法を用いて検証を行った。平成19年度までに臨床サンプルの採取およびTCRレパトア解析は終了し、データの解析および考察を加えた結果をもとに、平成20年度は論文作成および学会発表を行った。(論文発表:Gotoh A,Hamada Y,Suzuki R,et al;Clin Exp Immunol 154(2):192-201 2008.学会発表:第53回日本口腔外科学会総会後藤哲人、濱田良樹、鈴木隆二示説発表2008年10月20日)。なお、示説発表では、日本口腔外科学会より優秀ポスター賞(メダルティス賞)を授与された。 現在は、本研究で認められたポリクローナル様増殖を伴うT細胞の病態形成に関して、癌化に関与するシグナル伝達のひとつとして知られているEpidermal Growth Factor Receptor(EGFR)を介したシグナル伝達を中心に研究を展開しており、本研究で得られた知見に継続させて論文作成および投稿を行っていく予定である。
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