研究課題/領域番号 |
20592220
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 拓一 東北大学, 大学院・歯学研究科, 講師 (10303132)
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研究分担者 |
島内 英俊 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (70187425)
高橋 信博 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (60183852)
八巻 惠子 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (90182419)
真柳 弦 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (10451600)
松山 順子 新潟大学, 医歯学系, 助教 (30293236)
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キーワード | 歯学 / 口腔細菌 / 根尖性歯周炎 / PCR / 16S rRNA |
研究概要 |
本研究の目的は、16S ribosomal RNA遺伝子をターゲットとした分子生物学的方法に基づく根管内細菌検査を通じて根管治療に伴う根管内細菌叢の推移・変遷を観察し、根尖性歯周炎の病態に関わる細菌群を明らかにするとともに、従.来経験則に依存しがちだった根管治療薬の選択をEvidence-basedなものとし、さらには、根管充填前に必須である、細菌培養検査(従来法)に代わる、簡便で信用度の高い新たな根管内細菌検査法を確立・提唱することである。併せて根管内細菌叢と臨床症状との関連性を明らかにし、根尖性歯周炎の客観的病態診断法の確立をめざす。今年度は、感染根管治療の経過に伴って根管内の細菌叢がどのように変化(シフト)するかについて、量的および質的に検討した。被験者からインフォームド・コンセントを得た後、感染根管象牙質をファイルによって採取し、試料とした。厳密な嫌気条件下で培養し、得られたコロニーについて、16SrRNA遺伝子のシークエンス法により、細菌叢の量的・質的変化について解析を行った。その結果、感染根管内の細菌構成は偏性嫌気性菌が91%(162株)と優勢で、Olsenella(27.5%), Mogibacterium(19.1%), Pseudoramibacter(11.8%), Propionibacterium(10.1%), Parvimonas(6.7%)が主要な優勢菌であった。また、これらの根管からは2回目あるいは3回目の根管治療までに、細菌が検出されなくなった。以上から、感染根管内の環境は嫌気的で、偏性嫌気性菌の生育に適していること、さらに適切な根管治療によって根管内の環境は劇的に変化することが示された。
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