研究課題
根尖性歯周炎では生体防御反応として様々な炎症・免疫反応が局所的に営まれていることが知られているが、本疾患の成立および拡大には様々な因子が関与していると考えられ、その詳細は未だ不明な点が多い。今回の実験では、根尖周囲の炎症の拡大に大きな役割を果たしていると考えられるIL-10に注目し、ノックアウトマウス用いることにより、根尖性歯周炎における骨吸収および炎症の拡大に対するIL-10およびTh1サイトカインの機能的役割を解明することを目的とした。昨年度までに行った実験より、IL-10^<-/->マウスにおいては、炎症の拡大にT細胞性免疫が深く関与していることが示唆された。さらに、IL-12/IL-10^<-/->マウスにおいても同様の所見が観察されたことから、IL-10が制御しているターゲットは、IL-12を介するT細胞性免疫応答であると推察された。今年度はこれまでの結果をさらに補強すべく、腹腔マクロファージにおけるIL-12の発現状況についてin vitroにて検索をおこなった。ELISA法によるタンパク測定の結果、細菌によって刺激されたIL-10^<-/->マウスの腹腔マクロファージでは、wild typeマウスと比べてIL-12の発現が有意に増加しており、in vivoでの実験結果が裏付けられた。これまでの結果と合わせ、IL-10ノックアウトマウスにおいて、IL-12依存性のT細胞性免疫が、根尖性歯周炎における炎症性骨吸収の亢進を誘発している可能性が示唆された。
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Journal of Periodontal Research
巻: 45 ページ: 757-763