研究課題/領域番号 |
20592223
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
竹中 彰治 新潟大学, 医歯学系, 助教 (50313549)
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研究分担者 |
吉羽 邦彦 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (30220718)
興地 隆史 新潟大学, 医歯学系, 教授 (80204098)
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キーワード | バイオフィルム / 浸透 / 拡散 / 共焦点レーザー顕微鏡 |
研究概要 |
成熟バイオフィルムの制御は、(1)浸透性の良い抗菌成分を送り込む(2)マトリックスを分散させる(3)バイオフィルムを剥離する方法が考えられるが、特に(1)を考える場合マトリックスとの相互作用(吸着、反応あるいは修飾)を最小限にとどめ、抗菌成分を深層部に到達させる必要がある。本研究では、人工バイオフィルムへの種々の高分子化合物の浸透を共焦点レーザー顕微鏡を用いて観察、解析するとともに拡散係数を算出した。キャピラリー中央部に形成されたバイオフィルムは、クラスター状をしており、浸透時間はバイオフィルムの直径に伴って大きくなった。浸透時間は外因性のパラメータであり、形と大きさに左右される。そこで、我々は内因性のパラメータとして拡散係数により評価した。拡散係数De=0.31R^2/t90で計算される(Rはバイオフィルム直径)。本実験におけるバイオフィルム中でのDeは蒸留水中のDeと比較して22%(IgG)から90%(3000-MW)であり、分子量の増大に伴って有効拡散係数は減少した。この違いは、バイオフィルムの構成成分に対する高分子の吸着程度、電気的相互関係によるものと推測される。 バイオフィルムへの高分子化合物の有効拡散係数に関する研究データには、未だ一定のコンセンサスが得られていない。有効拡散係数のばらつきの原因としてテクニック固有の問題、溶質の輸送を促進する対流輸送、バイオフィルム外層の物質輸送を妨げるものの存在(計測前の不適切な処理)が考えられる。
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