研究概要 |
本研究の目的は"浸透・拡散性能を指標とした根管内バイオフィルムに対する抗菌戦略探求"のための象牙細管内侵入細菌の未固定、非脱灰による新しい生死判定技術を確立することである。これまでの研究では、歯を脱灰せずに切断する技術がなく天然抜去歯をあらかじめ脱灰したのち、細菌培養し象牙細管内に侵入させ感染根管モデルを作製するか、割断面を直接観察する方法が用いられてきた。以下のような手法により、in vivoに近い感染根管モデルを使用して、根管内バイオフィルムに抗菌成分を作用させたときの象牙細管侵入細菌の生死判別を固定することなく観察することが可能となり、現在本実験進行中である。 1)ヒト新鮮抜去歯の歯冠部を切断2)切断面から5mmの深さまでダイヤモンドバーにて形成。次亜塩素酸ナトリウムとEDTAを用いて有機成分、スメア層を除去する 3)切断面から5mmのところで切断し、ガス滅菌を行う4)E.faecalisを用いて37℃、1-3ヶ月嫌気培養し感染根管モデルを作製、想定される抗菌成分による根管洗浄を行う 5)SYTO9,Propidium IodideもしくはCalcein-AM,Rhodamine Bによる生菌、死菌染色ののち、凍結切片作製6)川本テープ法(Kawamoto:Archives of Histology and Cytology,66,123-143,2003)を応用し未固定、非脱灰で10μmの切片を作製7)共焦点レーザー顕微鏡により観察
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