研究概要 |
光重合型レジンは,その重合硬化に伴って体積を変化させる重合収縮という現象を生じる。重合収縮の発生は,修復物と窩壁との間にギャップを形成し,歯髄刺激あるいは二次う蝕の原因となるところから,その重合挙動に関しては検討が続けられているものの,不明な点が多いのが現状である。そこで試作レジンを用いて,光線照射初期における重合挙動について,レーザースペックル干渉法および重合体積収縮率によって検討した。 試作レジン(松風)としては,圧流度が40.0mm(SP-1),27.5mm(SP-2)および16,5mm(SP-3)の3種類を用いた。照射器としてはOptilux501(sds Kerr)を,その光強度が100あるいは600mW/cm^2になるように調整し,30秒間照射した。 体積重合収縮率の測定は,精製水を満たしたディラトメーター内にレジンペーストを静置し,照射に伴って生じる体積変化をCCDカメラにて照射開始から180秒後までガラス管内の精製水の目盛り移動量(mm)を連続撮影し,その移動量から体積収縮率として算出した。 スペックルパターンの測定は,レジンペースト表面から得られたスペックルパターンを照射開始から120秒後まで連続して記録した。 供試試作レジンの重合収縮率は,いずれの試作レジンにおいても,照射開始から照射終了時まで急激な収縮を示し,それ以降はなだらかな一定の曲線となる傾向を示した。照射開始から180秒後における重合収縮率は,試作レジンによって違いが認められたものの,いずれの試作レジンにおいても光強度が100mW/cm^2の条件と比較して600mW/cm^2では有意に高い値を示した。 また,スペックルパターンの相関は,いずれの試作レジンにおいても,照射開始とともに急激に低下し,その変化は,供試試作レジン間では明らかな違いは認められなかった。
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