研究概要 |
BMPなどのTGF-betaスーパーファミリーの細胞内シグナル伝達を担うsmadsを歯髄の硬組織形成能の促進・抑制を制御している因子と捉え、歯髄組織の硬組織形成能における調節機構と考え、本研究ではsmadsによる硬組織形成能における調節を解明しようとするものである。昨年度までに炎症メディエータであるPGE2の濃度の差による石灰化物の産生とBMP、samdsの動態について検索し、特異型smad-1,5、抑制型smad-7の動きによって石灰化結節の産生を反映していた。半導体レーザー(Ga-A1-Asレーザー:波長810nm 1W,500 sec)照射による石灰化結節とBMP、smadの動態を遺伝子レベルおよびタンパク質レベルで検討した。その結果、(1)レーザー照射によって、石灰化結節の増大、(2)アルカリフォスファターゼ活性、遺伝子レベルの増大、(3)BMP-2の遺伝子レベルおよびタンパク質レベルで6から12時間後に増大、(4)BMP-4の遺伝子レベルおよびタンパク質レベルで24時間後に増大、(5)特異型smad-1の遺伝子発現で3時間後に増大、(6)タンパク質レベルでリン酸化した共有型smad-5の増大を認めた。半導体レーザーによって歯髄培養細胞が石灰化結節を産生することはすでに報告されていたが、レーザー照射によって、共有型smad-5と特異型smad-1が増大し、BMPのシグナルを伝達し、硬組織形成を促していることを示唆された。現在、PGE2の濃度依存による、また、レーザー照射による共有型smad、特異型smad、抑制型smadおよびsamdの動態が現れるまでの遺伝子解析の検索が進行中である。
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