研究概要 |
穿孔部に求められる材料的特性に生体親和性,硬組織形成誘導能,緊密な封鎖能,非溶解性などが挙げられる。そこで自己硬化型リン酸カルシウムセメント(CPC)が根管穿孔部の封鎖材として適した生体材料であることを検討するために,比較材料として従来封鎖材として使用されてきたグラスアイオノマーセメント(GI),MMA系レジンセメントであるスーパーボンド^<TM>(SB)および封鎖材として優れた特性が報告されているMineral Trioxide Aggregete(MTA)を用いてヒト歯髄培養細胞に対する細胞増殖,アルカリホスファターゼ(ALP)活性およびオステオカルシンのタンパク質産生量について実験を行い細胞親和性およびdentinogenesisに及ぼす影響について検討を行ったところ以下の結果を得た。 1)細胞増殖は,すべての試料で培養48時間後で対照群に比べ高い増殖能を示した。 2)ALP活性は,すべての試料で培養16日目にピークを認めたが,24時間後では低下していた。MTAのALP活性は,他の材料と比較し,有意に上昇していることからヒト歯髄培養細胞における分化を促進させる可能性が示唆された。 3)オステオカルシン産生量についてはCPCがMTAに比べて高い値を示すことから,dentinogenesisを反映している可能性が示唆された。 4)CPCとMTAはヒト歯髄培養細胞における細胞親和性を有することから封鎖材として使用できることが示唆された。
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