本年度はラットに実験的に根尖病変を形成し、その成立過程におけるMMP-8、MMP-13の発現動態について免疫組織学的、組織形態計測学的に検索した。 免疫組織化学的所見 MMP-8は露髄後1週ではほとんど認められず、2週でわずかに認められた。3週、4週では根尖部膿瘍内およびその周囲に発現が多く認められた。しかし、6週ではその発現は減少していた。MMP-13は、露髄後1週からわずかに認められ、2週、3週、4週とその発現は徐々に増加した。しかし、6週ではその発現は減少していた。 組織形態計測学的所見 (1)根尖病変の面積:根尖病変の面積は1週から4週にかけて次第に増加し、特に2週から3週では病変部の面積は大幅に増加を示した。しかし、6週では面積は若干減少していた。 (2)単位面積あたりのMMP-8およびMMP-13陽性細胞数:単位面積あたりのMMP-8陽性細胞数とMMP-13陽性細胞数を比較すると、1週と2週ではMMP-8陽性細胞に比べ、MMP-13陽性細胞の方が有意に多く発現が認められた(p<0.01)。しかし、その後はMMP-8陽性細胞とMMP-13陽性細胞の間に有意な差はみられなかった。以上の結果により、MMP-8およびMMP-13ともに根尖病変が拡大するにつれ発現が強く認められ、MMP-13はMMP-8に比べ早期に発現することが確認された。このことから、MMP-8およびMMP-13は根尖病変における組織破壊に関与していると示唆された。
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