本年度はラットに実験的に根尖病変を形成し、その成立過程におけるTIMP1、TIMP2、の発現動態について免疫組織学的、組織形態計測学的に検索した。 免疫組織化学的所見 TIMP1は露髄後1週、2週ではその発現は認められなかった。3週では、根尖部膿瘍内に発現が認められるようになり、4週では根尖部膿瘍内およびその周囲に発現が多く認められた。しかし、6週では、その発現は減少していた。TIMP2は、露髄後1週では、その発現は認められず、2週では、ほとんど認められなかった。3週では、その発現は徐々に増加し、4週では根尖部膿瘍内およびその周囲の歯根膜にも発現が認められた。しかし、6週では、その発現は若干減少していた。 組織形態計測学的所見 単位面積あたりのTIMP1およびTIMP2陽性細胞数 単位面積あたりのTIMP1陽性細胞数は、露髄後1週、2週ではTIMP1陽性細胞は認められず、3週、4週ではTIMP1陽性細胞数は増加傾向を示した。しかし、6週では、TIMP1陽性細胞数は減少した。TIMP2陽性細胞数は、露髄後1週ではTIMP2陽性細胞は認められず、2週、3週、4週とTIMP2陽性細胞数は増加傾向を示した。しかし、6週では、その発現は減少した。TIMP1陽性細胞数とTIMP2陽性細胞数を比較したが、有意な差は認められなかった。 前年度の実験結果および今回の実験結果より、ラット根尖病変成立過程においてMMP-8およびMMP-13の発現が強く認められる時期と同時期にMMPのインヒビターであるTIMP1、TIMP2の発現が認められることが確認された。
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