歯髄・象牙質複合体の再生のために、骨髄幹細胞培養による硬組織形成促進と歯髄・象牙質複合体の再生に寄与する新たな培養補助剤を見出す必要がある。また、歯としての全体の再生とともに歯の一部の再生も重要な課題であり、賦形性に優れるスポンジを担体として実験を行った。 新規スポンジ担体の作製について、アルギン酸ナトリウムゲルを凍結乾燥し、生成物を透過型電子顕微鏡で観察した結果、その物質は多孔質で100~450μmの気孔径を有するスポンジ状構造体であることが確認された。担体として用いるには細胞懸濁液に浸漬する必要があるため、スポンジ状構造体を培養液に浸漬して、表面がゼリー状になって担体として不適当なアルギン酸ゲルの濃度があることがわかった。現在、新規スポンジに骨髄幹細胞を播種し、in vivoおよびin vitroセラミックス多孔体を未分化間葉系細胞培養の担体として細胞の増殖と硬組織形成細胞への分化促進を図り、そのために、細胞の分化に効果的な促進因子を検索した結果、ビアルロン酸、ラミニンをはじめ、ロイシンに有効な促進作用がある可能性が認められたが、デキストランにも未分化間葉系細胞の分化に効果のあることが認められた。さらに、ポリビニルホルマールスポンジは線維構造のためにセラミックス担体とは異なって骨髄幹細胞を受け止め得ず、骨髄幹細胞の付着が不可能であることが明らかになった。しかし、スポンジにデキストランをコーティングすることによって骨髄幹細胞が付着できる幅のある構造を呈し、その結果としてin vitroおよびin vivoでの骨髄幹細胞によるスポンジ内骨形成が誘導されることが確認できた。
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