研究概要 |
睡眠中に行われる歯ぎしりとして知られる睡眠時ブラキシズムの種々の為害性は指摘されているが原因の解明には至っておらず,その治療は対症療法が主でオクルーザル・スプリント等の口腔内装置,薬物療法,リラックス療法,認知行動療法等がある.中でもスプリントは広く応用されてきたが,近年その効果に疑問が提示されるようになり,ブラキシズム抑制よりも歯の保護にのみ効果があるとの考えが一般的になっている.この点からスプリントは積極的にブラキシズムを防止するものではなく,受動的な装置といえる. 当研究者らは平成18年度~平成19年度基盤研究(C)「ウェアラブル睡眠センサによる睡眠時ブラキシズムの予測と能動的抑制」で電気刺激によりブラキシズムを抑制しており,能動的に外部から刺激を与えることによるブラキシズム抑制の可能性を示している.また,ブラキシズム発生の直前に心拍数が増加することが知られており,心拍をモニターすることによりブラキシズムを予測し未然に防ぐことができると考えられる. 今年度は,無線による筋電計測に加え,新たにビデオカメラを導入し,動画を記録することにより,睡眠時の筋活動と実際の行動を照らし合わせることで,睡眠時ブラキシズムをより詳しく分析するシステムの有用性を検討した.最終的には睡眠時でも大きな違和感なく身体に装着可能な小型装置を用いてブラキシズム発生を予測し,未然に抑制するシステムを開発することを目的とする.これにより,ブラキシズムを有する者だけでなくその同室者も含めて国民のより健やかな睡眠と円滑な人間関係を促進することを目指す.
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