研究分担者 |
若林 一道 大阪大学, 臨床医工学融合研究教育センター, 特任講師 (50432547)
関野 徹 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (20226658)
荘村 泰治 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (10154692)
矢谷 博文 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (80174530)
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研究概要 |
オールセラミックレストレーションでは,金属に代わる高強度のジルコニアフレームが使用される場合が多い.ところが,通常のイットリア系ジルコニア(Y-TZP)は口腔内のような低温でも湿潤な環境では,劣化することが危惧される.そこで,本年度はジルコニアにわずかにシリカを0.2mol%含有させた材料を1400,1450,1500℃で焼成した試料について,200℃の水中に5~50時間保存する加速試験を行い,その物性や結晶構造の変化を従来型のジルコニアと比較検討した. その結果,劣化試験前の曲げ強度は910~1180MPaであったが,50時間の加速試験後は,従来がジルコニアでは強度が40~60%低下した.一方,シリカ含有ジルコニアでは,劣化試験語でも強度は950MPaであり,強度低下は20%以下であった.放射能濃度に関しては,両方の試料ともに,規定値の1.0Bq/g以下の値を示した.X線回折により,劣化試験後は単斜晶が増加することが示されだ.従来型ジルコニアでは,劣化試験後に最も強度の高かった1450℃で焼成した試料の単斜晶は78%であり,同じ1450℃で焼成したシリカ含有ジルコニア(47%)よりはるかに単斜晶の割合が高がった.単斜晶の増加は体積の増加を伴い,クラックの発牛をまねくことから,単斜晶の増加を抑えられたことが,シリカ含有ジルコニアの強度低下の抑制に影響したものと思われた. 今後は,この材料の上に歯冠角の陶材が焼成できるかどうか,あるいはこの材料を切削して歯科用インプラント体の製作が可能かどうかについて検討を行う予定である。
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