研究分担者 |
窪木 拓男 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00225195)
園山 亘 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (40325121)
完山 学 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (90294420)
片岡 健 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (10293317)
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研究概要 |
上皮間葉相互作用がまだ旺盛に生じているヒト幼弱智歯歯胚から,新規の増殖能に優れた歯胚由来間葉細胞と歯原性上皮細胞を分離する.この二種の細胞の相互作用を再構成モデルやチャンバー分離共培養モデル,混合共培養モデルを用いて生じさせ,歯胚由来間葉細胞を象牙芽細胞に効率よく分化させる因子を同定する.この因子を用いて,これまで不可能であった効率のよい象牙芽細胞分化技術を開発し,ひいては天然の象牙質と同等の強度を持つ人工歯根再生技術を開発する. 【抜去歯からの細胞の分離・培養と,その基礎的性質の検討】 今年度はボランティアより得た抜去歯(9〜11歳)の組織切片を作製し免疫染色を行った.歯乳頭部にはVimentin,歯小嚢にはVimentin,CK14陽性細胞が認められた.続いてこれらの組織から間葉組織(歯乳頭)を分離し,酵素処理によって単一細胞化し,培養により出現したコロニーをクローニングし,歯胚由来間葉細胞を得た.同時に,抜去歯に付着した歯小嚢から上皮細胞用の培地で培養することで歯胚由来上皮細胞の分離に成功した。この間葉細胞はRT-PCRによりVimentinが,上皮細胞はCK14,amelogenin陽性であることを確認している. 【上皮間葉相互作用の検討】 上記で得られた2種の細胞を用いて混合共培養モデルによる培養を行った.5日後にRT-PCRを行ったところ、混合共培養モデルにおいて単独培養と比較してAmelogeninの発現に有意な差(5.3倍)が認められたが、DSPPの発現に有意な差認められなかった。今後,共培養の際には細胞同士のコンタクトはない状態で液性因子のみが通過できるチャンバーを用いた分離共培養法と,細胞のコンタクトのある状態の混合共培養法と,三次元的な位置関係を再現した再構成法の三つの群を設定する.これらの共培養時に得られた培養上清,細胞層からタンパクを抽出し,プロテインアレイ法により解析することで,タンパクの発現動向を検討する.得られた因子の局在・発現は免疫組織染色,in situ hybridization等で確認する.
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