研究概要 |
近年,義歯を使用している高齢者は欠損を放置している高齢者より自立しており生活の満足度が高いことが明らかとなるなど,補綴治療の抗加齢作用が報告されている。しかし,顎口腔系の機能と補綴治療の抗加齢作用との関連は明らかではない。本研究は(1)生活や食習慣に起因する廃用性の各種機能低下は早期発見が可能(2)各種機能の評価をレーダーチャート上で総覧すれば対策が必要な問題点の指摘が可能(3)問題点に対応した廃用性機能低下対策を行うことは,補綴治療の抗加齢作用の強化に有効の3つ仮説に基づいて,高齢者の口腔機能を総覧できるレーダーチャートを開発し,補綴治療の抗加齢作用増強を目指した。本年度は過年度にひきつづき、在宅およびデイサービス利用高齢者の全身および口腔機能検査:(1)残存歯数,咬合支持,義歯の状態(2)咬合力測定(3)最大舌圧測定(試作機TPS-350,ALNIC)(4)グミゼリーによる食品粉砕能を測定するとともに、研究結果をまとめ,国内外の最新の知見と照らし合わせて考察し,国際学会(The 88th IADR General Session & Exhibition, Barcelona, Spain)で発表するとともに,論文を作成、投稿し、国際雑誌(Journal of Oral Rehabilitation)にアクセプトされた。さらにこの3年間に継続して口腔機能を測定した被験者について(1)結果説明指導群,(2)一般歯科介入群,(3)レーダーチャートに基づくリハビリ群の3群にわけ,その有用性を検討した。
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