研究概要 |
目的:近年、上顎無歯顎に対して、傾斜埋入インプラントを上部構造で連結する方法が報告され、良好な成績も散見される。一方、傾斜埋入のリスクを考慮すると、ショートインプラントをパラレルに埋入する方が良好な成績を得られるのではないかとの報告もみられる。そこでこの2種類の方法に対して、上部構造に荷重を負荷した際に生じる骨表面のひずみを計測し、力学的検討を行った。 材料と方法:上顎無歯顎モデル(ニッシン社製,P9-X825)を用いて、2種の実験モデルを作製した。いずれのモデルも両側犬歯部には咬合平面に対し垂直にインプラント(Branemark RP 13mm)2本を埋入した。うち一つは、両側臼歯部にショートインプラント(Branemark RP 8.5mm)4本を咬合平面に対し垂直埋入した。もう一つには上顎洞を避け、両側臼歯部に長いインプラント(Branemark RP 13mm)4本を傾斜して埋入した。これら2つのモデルに対し、マルチユニットアバットメントを締結し、CAD/CAMにより同形状のチタン製フレームを作製した。上顎骨上縁部を固定し、チタンフレーム上より荷重10Nを負荷し、インプラント周囲骨の表面のひずみを計測した。 結果と考察:このモデル実験においては、ボーンアンカードブリッジフレームに集中荷重を加えた場合、前方部荷重を除き、ショートインプラント周囲の骨表面に有意に大きなひずみが生じる傾向が認められた。骨表面のひずみが生体に与える影響について今後さらなる検討が必要である。
|