研究課題/領域番号 |
20592273
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
田中 真樹 札幌医科大学, 医学部, 助教 (40207139)
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研究分担者 |
平井 敏博 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (80014273)
越野 寿 北海道医療大学, 歯学部, 准教授 (90186669)
豊下 祥史 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (20399900)
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キーワード | 歯学 / 咬合 / 咀嚼 / 活性酸素 / 抗酸化 |
研究概要 |
咬合・咀嚼は生体情報伝達系である神経系-内分泌系-免疫系の相互作用に深く関与しており、健康の維持に不可欠な因子の一つである。しかし、咬合・咀嚼機能に異常をきたすと、生体に対してストレッサーとなり様々な影響を及ぼす。たとえば、精神的・身体的ストレスによってスーパーオキシドなどのフリーラジカルが増加し、種々の疾患が惹起される。本研究の初年度は、ラットの咀嚼動態を固形から液体へ変更し、酸化ストレスとの関係をスーパーオキシド産生能と血清抗酸化能の面から検討した。 9週齢のWistar系雄性ラットを用い、固形飼料で10週齢まで飼育後、同一成分の固形飼料と液体飼料で飼育する2群を設定し、以下の検討を行なった。(1)好中球のスーパーオキシドの産生能:カゼインを腹腔内投与後、腹水から好中球を回収し、2波長分光光度計を用いてシトクロムC還元法で解析した。(2)血清の抗酸化能: hypoxanthine/xanthine oxidase系によりスーパーオキシドを産生させ、電子スピン共鳴(electron spin resonance)装置を用いて、スピントラッピング法で消去能を測定した。その結果、スーパーオキシド産生能に関しては、飼料変更後7、14、21日目で、液体飼料群は固形飼料群に比べ有意に増加していた(p<0.05)。血清の抗酸化能については、飼料変更後7、14日目には変化はなかったが、21、28日目には、液体飼料群では固形飼料群に比べ有意に低下していた(p<0.05)。すなわち、噛むことが習性であるラットを液体飼料で飼育することがストレッサーとなり、その結果、生体が酸化ストレス状態へ誘導されることが明らかになった。現在、飼育飼料形態の変化を長期継続させた場合の酸化ストレス状態について、検討中である。
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