研究概要 |
レーザー溶接時の適切なレーザー照射条件を追究する研究の一環として,まず材料として純チタンを用い,レーザー溶接時の照射条件が,金属の性質変化に及ぼす影響について実験を行った.純チタンをメーカー指示に従って鋳造し板状の試料を製作した後,レーザー照射面には反射を抑える目的でアルミナサンドブラスト処理を施した.試料長辺の端から1mm内側の位置に2mm間隔でレーザーを照射し,純チタンを溶融させた。レーザー照射はアルゴンガス雰囲気中で行い,照射条件は出力を2.0kw,2.5w,3.0kwの3種類とし,パルス幅は4ms,7ms,10msの3種類に設定した.またパルス幅4msの条件では半分の出力をそれぞれ3ms,6ms付加した波形についても実験を行った.レーザー照射後まず溶融池表面の直径を測定した.次に試料を溶融池中央部まで削合し,断面を研磨した後走査型電子顕微鏡で観察した,さらに鋳造体部と溶融池部のマイクロヴィッカース硬さを測定した.その結果レーザーの総エネルギーが大きいほど溶融池の直径は広くなり,特にメインパルスのエネルギー量がより大きく影響することが分かった,マイクロヴィッカース硬さは鋳造体部に比較すると溶融池部が明らかに大きな値を示し,SEM像では溶融池部に針状結晶と思われる組織が観察された、したがってレーザー溶接を行った部位は,たとえアルゴンガス雰囲気中で行っても硬くかつ脆くなることが推測され,実際の臨床で使用するに当たっては,注意が必要なことが示唆された.
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