研究概要 |
レーザー溶接がメタルフレームの変形に及ぼす影響を調べるため,純チタンを用いて10×15×3mmの板状の試料を鋳造により作製した.2枚の試料の短辺同士を溶接することとし,接合面がそのままのバットジョイント形態と上下1mmに角度45度のベベルを付けて接合面を薄くした開先形態の2種類の試料を準備した.2枚の試料を突き合せて硬質石膏に埋没し,溶接用ブロックを作製した.この時片方の試料は石膏内に埋没固定し,もう一方の試料は石膏面上に置いてワックスで仮固定した.レーザーは接合面の中央,両端から1mmの位置の順で3回照射し,照射条件はスポット径を0.6mmに固定して,波形を(1)出力2.5kw,パルス幅3.0ms,のメインパルスのみ,(2)メインパルスの直後に出力1.6kw,パルス幅2.0msの付加パルスを付与,(3)メインパルスの直後に出力1.6kw,パルス幅4.0msの付加パルスを付与,の3種類とした. レーザー溶接による変形は試料断端の石膏面からの浮き上がり量を,実体顕微鏡で観察して測定した.接合部の形態を開先形態とした試料が,バットジョイント形態の試料より変形が少なかった.またメインパルス単独の波形(1)よりも,メインパルスの直後に弱い付加パルスを付与した波形(2),(3)の方が変形は少なかった.以上のことからレーザー溶接によるフレームの変形は,接合部の形態やレーザー波形を工夫することにより抑制できる可能性が示唆された.
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