研究概要 |
まず金銀パラジウム合金、Co-Cr合金および純チタンの3種類の歯科用金属を用いて、20.0×6.0×1.0mmの板状試料を製作した。2枚の試料の短辺同士を突き合わせ、枡形ブロック上で片方を固定して5か所レーザー溶接した後、もう一方の試料断端のブロック面からの浮き上がり量を測定した。 レーザー照射条件は、パルス波ではスポット径を0.6mmに固定し、ピーク出力を金銀パラジウム合金では3.OkW、Co-Cr合金では2.8kW、純チタンでは2.4kWに設定した。波形はピーク出力でパルス幅5msの矩形波(波形(1)、波形(1)の直後に出力が半分でパルス幅5msの付加パルスを追加した波形(波形(2)、出力を0から2msかけてピークまで上げそこで2ms維持した後4msかけて0に戻す山型波(波形(3)の3種類とした。また連続波ではスポット径を0.1mm、走査速度を5mm/sに固定し、出力を金銀パラジウム合金は400W、Co-Cr合金は250W、純チタンは150Wに設定して行った。 以上により,レーザー溶接時のレーザー波形が金属フレームの変形に及ぼす影響について比較検討した。その結果いずれの金属においても、パルス波では波形(3)が波形(1)および波形(2)よりも大きな浮き上がり量を示し、山型波よりも矩形波の方が変形が少ないことが示唆された。また条件は異なるものの連続波を使用すると、試料の変形をパルス波の半分以下に抑えることができ、精確な溶接が要求される歯科技工領域において有効であると考えられた。
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