研究概要 |
顎関節症の初診患者を連続サンプリングした.咀嚼筋障害,関節包・靭帯障害,関節円板障害,変形性関節症の一次症型診断がつき,薬物を服用しておらず,欠損が無く,顎関節領域ないし咀嚼筋等に1週間以上継続する疼痛を有する顎機能障害患者で覚醒時に上下歯列接触癖(Tooth Contacting Habit : TCH)を自覚する者4名(男性1名,女性3名)の参加同意が得られた.被験者に対して,静寂な実験室において計測装置設定後に,1分間の安静状態をとらせ,引き続き15分間連続(15分以上の計測を行うと頭部に装着したプローブによる痛みが出現し,その影響がでるため)で読書集中課題(リラックスして読む場合と集中して読む場合とでTCHの出現頻度に差が出るため)を実行させた.測定は顎顔面の運動(ビデオ記録システム),筋電図(小型4チャンネル生体アンプ)およびNIRS(光トポグラフィー装置)の同時計測を行った.計測中に口唇の動きが認められたが,閉口筋に明らかな筋活動の出現は認められず,クレンチングではなくTCHが出現していることが確認された.初診時における前頭皮質におけるHb濃度が初期の段階から低く,前頭機能の低下が明らかであった.これは平成22年度に得たTCH自覚健常群と同様の結果であり,顎関節症の症状発現とは無関係にTCHを有する者は前頭皮質の機能的低活性と関連していることが示唆された。また,被験者2名がTCH是正後の計測を行ったがHb濃度の上昇する傾向が認められた.
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