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これまで我々は、チューイングによるストレス緩和効果を明らかにしてきた。さらに、チューイング時の運動条件に着目し、チューイング速度の違いがストレス緩和に影響を及ぼすことを報告した。そこで今回は、チューイング時の力に着目し、ストレス緩和に有効な運動条件を検討するために、咀嚼時の咬合力の違いがストレス状態に及ぼす影響を比較した。
被験者は健常有歯顎者男性10名とした。被験者に20分間安静を保たせた後に、ストレス負荷として暗算を20分間行わせた。その後、10分間のガムチューイングを行わせた。チューイングの条件は被験者の主観による「強い力」、「普通の力」および「弱い力」の3条件とした。チューイング後は20分間の安静状態を2回保って実験終了とした。
ストレス状態の評価には唾液中のストレスマーカーであるコルチゾール、アミラーゼおよびs-IgAを使用した。唾液の採取時期は、20分間安静後、ストレス負荷20分後、10分間のチューイング後、チューイング後の安静20分後および安静40分後の計5回とした。唾液採取時間は2分間とした。唾液中ストレスマーカーの分析は、ストレス負荷20分後から10分間のチューイング後の変化量の割合と、ストレス負荷20分後からチューイング後の安静20分後および安静40分後の変化量の割合を変化率として算出した。また、筋電計を用いて、両側咬筋の表面筋電図を導出し、チューイング10分間の振幅の平均値および総筋活動量を求めた。
唾液中コルチゾール濃度の変化率からは「強い力」の条件が「弱い力」の条件と比較してよりストレスを緩和する傾向を示した。今後は追加実験を行い、詳細な検討を行っていく予定である。
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